【麻雀】長期的な視点を持つにはどうすればいいか

 麻雀ではどういうわけか長期的な視点を持とうといわれていたりする。まあ目先の勝利に一喜一憂するなというのはわかる。でも勝てば嬉しいし、負ければ悔しいと思うのも人間特有のものである。

 長期的に見ようという意見は…自分は良いとも悪いとも言えない。でも悲しいかな、どうやったら長期的な視点を持てるのかを知ろうといろいろなサイトを巡ったものの、その肝心の方法が書かれていない。というわけで長期的な視点を持てるようになる方法を考えてみることにした。

 ・長期的視点を阻むもの

 その方法を考える前に、長期的な視点をなかなか持てないのはなぜかを考えよう。ひとつはその人の目標設定に問題があるからだと思う。問題のある目標は何かというと、麻雀、とくにネト麻でいえばレーティングや、段位がそれにあたる。レーティングを上げよう、これ以上落ちないように維持しようという心理が、長期的な視点を持てないようにしているのである。いわばレーティングのために麻雀をやってることになる。

 そうなると、レーティングを上げるには勝ち続ける必要が出てくるし、レーティングを落とさないようにするには、最下位はなんとしても避ける必要が出てくる。レーティングを上げたいのになかなか勝てない期間が続けばイライラし、最下位ばかりを取ってレーティングを落とせば、落ち込む。

 そのため、まずはレーティングや段位を上げよう、維持しようという思考を捨てなければならない。どうやって捨てればいいのか?簡単だ。自問すればいい。

 「自分はレーティングのために麻雀をやってるのか?」と。

 もしYESならこれ以上自分から言えることはないけど、Noだったりうまく答えられそうにないならとっとと捨てるべきだ。

 つぎにその心理以外でも長期的視点を阻むものがある。それは

 「やるからには勝つ」

 というマインドだ。もちろん勝負事だから勝ちたい人はいても、負けたいという人はー負けることに快感を感じるマゾヒストでもない限りーいないだろう。

 ただこれは、別の視点で見ると負けることを想定していないともいえる。また大抵プライドも高い。そういう人が負けると、プライドが傷つき、その結果自滅したり、麻雀がおかしくなったり、イライラしたりする。

 これの対処法は簡単で、勝負事の原則を今一度理解すればいいだけだ。つまり、勝つこともあれば負けることもある。それはどんな実力の人でも起こる。自分も例外ではないことを理解しよう。長期的な視点を持ちたいのなら、このマインドも捨てる必要がある。

 最後にネット麻雀でありがちなのが、「勝てば昇段、負けると降段」のような戦いである。前者なら何が何でも勝とうとやっきになるし、後者なら絶対に落とすわけにはいかないと意気込む。

 これは先ほど言った「やるからには勝つ」と似たようなものだ。この半荘はどうしても勝ちたい、何があっても負けられない、という思考が長期的視点をなくしてしまう。

  さて、この3つに共通するものは何かというと、他家の存在である。もし他家がCPUなら勝とうという気はそこまで起こらないし、リーチをかけられても、まあ当たってもいいやくらいの気持ちでつっぱるだろう。

 ただ人が相手だと、不思議と勝ち負けやレーティングを気にしたりする。そしてリーチをかけられたら、勝負手が入ってない限りは当たってもいいやという気持ちにはならないし、他家がバカヅキしてるといい加減にしろと思ったりもする。

 ・長期的視点を持つにはどうすればいいか

 ここまで書けば、答えが分かった人もいるかもしれない。が、わからない人もいると思うので書く。

 長期的視点を持つには、「勝ち」と「負け」を捨てなければならない。ここでいう「勝ち」と「負け」は半荘ごとの結果の部分、いわば短期的視点である。逆に言えばそれにこだわり続ける限り、長期的視点は持てないのである。つまりトレードオフの関係にあるのだ。

 トレードオフということはどちらか一方しか選べないってことである。それは言い換えれば、どちらもそれなりの価値があるってことでもある。もし片方に全く価値がないのならトレードオフは成り立たない。

 つまり勝ち負けにこだわることが自分の原動力になるのなら、別に長期的視点を持つ必要などないのである。一喜一憂することがいいんじゃい、という人も別に長期的視点を持つ必要はない。

 ただ、長期的視点を持ちたいのであれば半荘ごとの勝ち負けに一喜一憂することは捨てなければならない。もっと踏み込むことを言えば、「他人に勝とう」という心理、思考は長期的視点を持つにあたって不要なものである。

 長期的視点を持つために半荘ごとの勝ち負けや、他人に勝とうという心理、思考を捨てることが分かった。じゃあほかに何をやればいいのか?と思った人もいるかもしれない。が、これは簡単だ。自分の力量をあげることに注力すればいい。牌譜を見返し、おかしな打牌をしてなかったか、あのときの鳴きは適切だったのか…。自分の力量を上げていけば、おのずとレーティングや段位もそれ相応のものになる。レーティングのためでもなく、相手に勝つためでもない。ただ単純に、ストイックに、自分の力量を上げるのだ。

 ・長期的視点を持とうと思ってもなかなかできない理由

 ここまで長期的視点を阻むものは何か、長期的視点を持つにはどうすればいいかを書いてきた。長期的視点は半荘ごとの勝ち負け、つまり短期的視点とのトレードオフなので良し悪しではなく、どちらを取り、どちらを捨てるかである。

 で、長期的視点を持つようにしようと決めても、これがなかなかうまくいかなかったりする。なぜかというと、知らず知らずのうちに短期的視点になってしまうからだ。

 例えばオーラス、3人とも原点近くで点差はほとんどなく、あがったひとがトップといった状況のとき、「あがれば勝てるから、ピンフ系の軽い手を目指そう」と考えがちだ。「他人に勝とう」という気持ちが出てしまっている。そのため、あがりに向かおうと手作りするけど、それがうまくいけば嬉しいだろう。だが、なかなか手が進まず、他家にあがられてしまうこともある。そうなったら悔しいし、人によっては勝った人を恨んだりする。

 繰り返すが、短期的視点が悪いとは言えない。ただ半荘ごとの結果によって気分が上がったり、下がったりするから、今日の俺は最強だというときもあれば、つまんねーな、もうやめようかな、となるときもある。つまり短期的視点というのは不安定なのである。そういった不安定さを心から楽しめるのであれば別だが、ストレスになっているのならその視点は捨てたほうがいい。